レセプトオンライン資料倉庫

 レセプトのオンライン請求が2011年度から義務化されます。H20年10月には歯科電子レセプトの仕様が正式に公開されました。さらに1月から接続試験がはじまります。

 もちろんカルテメーカーも対応中です。そのために様々な資料を収集しております。この資料は私だけでなく多くの人にも利用価値があろうかと思いますのでここに公開します。



ヘッドライン

【2008.12.19】 基金:「レセプト電算処理歯科システムに係る確認試験の実施について」通知を発送
【2008.11.27】 基金:接続試験実施要領を発表
【2008.10.03】 基金:レセプト電算処理システムの正式仕様を発表


目次


レセプト電算処理歯科システムに係る確認試験の実施について

平成20年12月19日に表題の文書が各歯科医療機関に発送されました。いきなり送られてきたので戸惑ってる方もいらっしゃるかと思います。そこでこの文書や確認試験ということについて簡単に解説してみました。


 まず最初に、まだこの文書を焦って提出する必要はありません。

 でも電子レセプトで請求するためには絶対に必要な文書です。

 お使いのレセコンが電子レセプトに対応した時に必要になります。それまで大切に保管しておきましょう。詳しく知りたい方は以下をお読み下さい。


確認試験って何?

 確認試験とは、電子レセプトで医療費を請求しようとする医療機関が、作成した電子レセプトが正しく発行されているかどうかを確認するための試験です。

 レセコンのメーカーは同じような試験を事前に受けています。このメーカーが受ける試験を「接続試験」といいます。試験内容は確認試験とほぼ同じものです。このため通常は電子レセプトに対応したレセコン(レセプト電算処理歯科システム対応レセコン)であれば、それを使って作成した電子レセプトをわざわざ再度同じような試験を受けなくてもよさそうですが、かなずしもそうではありません。医科の例をみてもやはりいろいろと問題が起こります。ですので面倒でも本番前にはこの試験を受けておくべきです。

 なぜ問題が起きるかというと、一つはメーカーでは全部の症例について完全に試験ができないからです。実際の診療で発生する全てのパターンを完全に網羅することは不可能です。この場合、実際に発生したエラーの報告はメーカーにとって非常に役立ちます。確認試験で発生したエラーはメーカーに必ず報告しましょう。

 もう一つの理由は、電子レセプトの切換える際にレセコンの設定の変更や、ソフトによってはデータの変換処理等が必要になりますが、それが正しく行われていないためです。電子レセプト用に入力操作が変更になる場合もあります。その操作に不慣れで正しくデータ入力ができていない場合もあるでしょう。

 実際に電子レセプトで請求をしようとするといろいろな問題が発生するものです。本番前にこの確認試験を受けて問題点を洗い出しスムーズな請求ができるようにしましょう。


そもそもレセプト電算処理システムって何?

 レセプトオンラインのこと?

  って思った方は半分正解です。でもレセプトオンラインそのものではありません。

 レセプト電算処理システムとは電子レセプトで医療費を請求することです。でも、オンラインではありません。電子レセプトをフロッピーディスクやCD-Rに記録し、それを支払基金や国保連合会に郵送(あるいは宅配)で送り、医療費を請求します。

 郵送する代わりに同じ電子レセプトを通信回線を使って送信するとレセプトオンラインとなります。すなわち、レセプトオンラインの前段階としてこのレセプト電算処理システムに対応しないといけません。


私のレセコンは対応していないんですけど。。。。

 これを書いている時点(平成20年12月20日)では、レセプト電算処理システムに対応した歯科用レセコンは私は知りません。実はメーカーが受ける接続試験も確認試験と同じように1月から始まります。製品として世に出すには少なくとも数回は試験を受ける必要があるでしょう。ですので製品としてリリースされるのは来年になってからになるはずです。

 じゃ、なんでこの時期に確認試験が始まったのでしょう。私のような変わり者がいるからという意見もありますが、実際は3月請求分から電子レセプトの正式な受け入れが決まっていますので、逆算するとこの時期に確認試験を始めないと間に合わないのです。

 リリースはまだでも各メーカーともそろそろ対応の目処が立ってきた頃です。ご自身がお使いのレセコンがいつ対応するかどうかそろそろ確認してみると良いでしょう。ちなみにカルテメーカーは1月には対応版をリリースする予定でいます。


手続きの流れがよくわからない



 通知にはこんな参考資料が同封されています。どれも確認試験の申し込みから本番の電子レセプトでの請求開始までが説明されているのですが、どうもわかりにくいですよね。

 といっても私もこれ以上に上手く説明を書けそうもないので、具体的な日程で流れを説明しましょう。

2月下旬レセプト電算処理システム対応版レセコンにバージョンアップ
2月下旬より電子レセプトに対応したレセプト入力
            2月20日期限の確認試験の申請には間に合わないので申請見送り
3月18日「光ディスク等を用いた費用の請求に係る確認試験依頼書」を担当地区の支払基金、国保連合会に提出(郵送またはFAX)提出期限は毎月20日
3月28日「光ディスク等を用いた費用の請求に係る確認試験実施連絡書」が基金から届く。試験用の電子レセプトの提出期限、確認試験の実施予定日、試験結果の発送日が書かれている。この書類は月末までに届く。
4月はじめ3月分のレセプトを集計し、試験用電子媒体レセプトを作成する。
3月分の本請求用には印字した紙レセプトを別途に用意。これを従来通り提出。
4月11日試験用電子媒体レセプトを提出
確認試験を実施
4月17日試験結果が通知される。2、3のエラーはあったものの本請求に支障はないと判断する。
4月19日本請求を開始するために「光ディスク等を用いた費用の請求に関する届出」を地区の支払基金、国保連合会に提出。提出期限は毎月20日
5月はじめ4月分のレセプトを集計。本請求用電子媒体レセプトを作成。
5月7日本請求の開始。電子媒体レセプトに「光ディスク等送付書」という文書を添えて支払基金、国保連合会に提出(郵送または宅配便)提出期限は毎月10日

 と、順調にいくとこんな感じになります。この確認試験依頼書を提出して本請求までは2ヵ月程度かかることがわかります。対応レセコンにバージョンアップしたから今月から電子レセプトを作って送ちゃおなんてなんて勝手に送っても受け付けてもらえません。1ヵ月振込が遅れてしまうなんていう最悪の事態も起こります。

 また、この確認試験をパスしていきなり「請求の届出」だけだして翌月から本請求ということもできますが、ミスが多発して返戻の嵐ということ考えられます。

 安心して本請求に移行できるように段階を踏んで対応していきましょう。

 確認試験というぐらいですので結果がエラーだらけの場合もあります。そのエラーが入力にあるのか、それともレセコンソフトのバグであるのか判断が難しい場合もあります。この場合はメーカーに連絡をとって対応をとりましょう。



 エラーが多い場合の手順は次のようになります。

3月18日「光ディスク等を用いた費用の請求に係る確認試験依頼書」を担当地区の支払基金、国保連合会に提出(郵送またはFAX)提出期限は毎月20日
3月28日「光ディスク等を用いた費用の請求に係る確認試験実施連絡書」が基金から届く。試験用の電子レセプトの提出期限、確認試験の実施予定日、試験結果の発送日が書かれている。この書類は月末までに届く。
4月はじめ3月分のレセプトを集計し、試験用電子媒体レセプトを作成する。
            3月分の本請求用には印字した紙レセプトを別途に用意。これを従来通り提出。
4月11日試験用電子媒体レセプトを提出
確認試験を実施
4月17日試験結果が通知される。エラーが多く本請求開始は見送り。
4月18日「光ディスク等を用いた費用の請求に係る確認試験依頼書」を再度提出。20日が期限なのでエラーの原因への対処は申請後におこなう。
            メーカーと相談してエラーへの対処をする。
4月28日「光ディスク等を用いた費用の請求に係る確認試験実施連絡書」が基金から届く。
5月はじめ4月分のレセプトを集計し、試験用電子媒体レセプトを作成する。
            4月分の本請求用には印字した紙レセプトを別途に用意。これを従来通り提出。
5月12日試験用電子媒体レセプトを提出
再度の確認試験を実施
5月16日試験結果が通知される。今度はエラーはなく、本請求に支障はないと判断する。
5月17日本請求を開始するために「光ディスク等を用いた費用の請求に関する届出」を地区の支払基金、国保連合会に提出。
6月はじめ5月分のレセプトを集計。本請求用電子媒体レセプトを作成。
6月9日本請求の開始。電子媒体レセプトに「光ディスク等送付書」という文書を添えて支払基金、国保連合会に提出

 と、こんな感じに1回見送るごとに1ヵ月ずつ遅れていきます。確認試験が月に1回しか実施されないためですが、これも電子レセプトが今まで普及していない一つの原因と言われています。まあ、これを見てもわかるように実のところ審査支払機関側もレセプトの電子化には消極的なんですね。

 とはいえ、レセプトオンライン化が迫ってる現状では対応しなければいけません。このように対応するには時間的な余裕が必要であるということはよく理解しておかなければいけません。


確認試験依頼書の書き方


 同封されていた確認依頼書です。記入にあたって特に難しいところはありません。

 医療機関コード、名称、住所、電話番号はそのままですね。

 依頼回数は、上記の流れのように確認試験を複数回受ける場合は、それが何回目を記入します。はじめてなら「新規」ですね。

 プログラム名称は、レセコンの機種名で大丈夫でしょう。カルテメーカーのようにソフト単体売りの場合はソフトの名称です。

 ソフトメーカー名は、メーカー名です。自主開発の場合は開発担当者、カルテメーカーのように個人の開発なら個人名です。

 電子媒体は電子レセプトをいれる媒体名です。レセコンによって違いますのでメーカーの指示通りの媒体を選びます。

 見込件数は、おおよそのレセプトの枚数です。この依頼書の提出時点では枚数が確定していないのでおおよその数で大丈夫です。前月の実績を参考にするといいでしょう。



レセプトオンラインとはどんな関係があるの?

 確認試験はあくまでも「レセプト電算処理システム」のための試験です。電子レセプトをFD等で提出する時に必要な試験です。

 レセプトオンラインでは、同じ形式の電子レセプトをネットワークで送信します。このため本来はこのレセプト電算処理システムに対応して正しい電子レセプトで請求ができることを確認したうえで、オンライン化に移行する必要があります。

 今でも確実性を重視するなら一旦、電子媒体での請求に対応してからオンライン化すべきなのかもしれません。

 実はオンラインでも同じような確認試験があります。試験内容はほぼ同じです。こちらは媒体を送る必要も試験に人手が必要なわけでなないので、毎月10日から月末まで何回でも24時間試験をして結果を確認できます。ですので媒体での提出をしないでいきなりオンラインでの確認試験、オンラインでの本請求というのも、なんら問題はありませんし手間としてはこちらの方が簡単です。

 で、正式な発表はないのですが基金内部での対応自体は3月分からのオンライン請求も可能となっています。各メーカーともそれを承知で開発を行っていますので、3月の時点では媒体での提出を見送り直接オンラインでの手続きを始めた方がいいのかもしれません。

 この辺りの対応は今後の推移を見守っていきたいと思います。


講演会資料

2008.5.25 第4回 日本医療管理学会 九州支部 春季セミナー

 ■来春スタート!レセプト・オンライン -準備はできていますか?-
        (パワーポイントのファイルがダウンロードされます。)


2008.11.24 日本医療情報学会

 ■歯科レセプトオンライン化における医療情報の電子化

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